韓国旅行に現金はいくら必要?|カード拒否は違法、なのに現金が要る場所【2026年】
問題は「カードが使えるか」ではなく「カードの店かどうか」です
韓国では、カード加盟店がカード払いを断ると法律違反です。「小さい店でカードを出したら嫌がられるのでは」という心配は、制度の面から言えば必要ありません。それでも現金を持っていく理由はひとつだけ——そもそも加盟店ではない場所があるからです。「拒否される」のではなく「最初からカードの店ではない」。この違いが分かると、持っていく現金の量は自分で決められます。
この記事はソウル在住の筆者が、韓国の法令原文と公式統計をもとに整理しました。「○万ウォンあれば十分」という断定はしません。その数字を裏づける公式統計が存在しないからです。代わりに、金額が確定している部分(交通費)と、自分で決めるしかない部分(屋台などでの買い物)を分けて出せるようにしてあります。
1. 結論: 場面別に「何で払うか」
まず全体像です。ほとんどの場面はカードで足ります。
| 場面 | 支払い | 理由 |
|---|---|---|
| コンビニ・カフェ・飲食店 | カード | 加盟店は法律上、カード払いを断れません |
| 百貨店・コスメ店・免税店 | カード | 同上 |
| 地下鉄・市内バス | 交通カード | T-moneyなどの交通カードで乗ります |
| タクシー | カード・交通カード | カード決済に対応しています |
| 空港リムジンバス | 現金・カード | 窓口での発券が一般的です |
| 屋台・露店 | 現金を用意 | そもそも加盟店でない場合があります |
| 伝統市場の小さな店 | 店によります | 同上。カードの店も多くあります |
つまり現金が必要なのは、表のいちばん下の2行だけです。上の5行をぜんぶ現金で払うつもりで両替すると、使い切れずに帰りの両替で損をします。
2. 「カード拒否」は韓国では法律違反です
日本から来る方がいちばん心配するのがここですが、韓国の法律は明確です。
신용카드가맹점은 신용카드로 거래한다는 이유로 신용카드 결제를 거절하거나 신용카드회원을 불리하게 대우하지 못한다.
クレジットカード加盟店は、クレジットカードで取引するという理由でカード決済を拒否したり、カード会員を不利に扱ってはならない。
これは訓示ではなく罰則つきの規定です。同じ法律の第70条第4項第4号が、この違反に対して1年以下の懲役または1千万ウォン以下の罰金を定めています。
「カード払いだと上乗せ」も違法です
同じ第19条には、もうひとつ旅行者に関係する条文があります。
加盟店は、加盟店手数料をカード会員に負担させてはならない。
つまり「カードなら5%上乗せ」「カードだと表示価格より高い」という扱いは、それ自体が違法です(第70条第4項第5号。罰則は上と同じ)。現金払いを勧められても、上乗せに応じる義務はありません。
もし断られたら: 申告する窓口が法律にあります
税法の側にも規定があります。韓国の所得税法第162条の2は、消費者を相手にする事業者をカード加盟店として加入させる仕組みを定めたうえで、こう書いています。
カード加盟店からカードによる取引を拒否された者、または事実と異なるカード売上伝票を受け取った者は、その取引内容を国税庁長・地方国税庁長または税務署長に申告することができる。
実際に旅行中この窓口を使う場面はほとんどないと思います。ここで大事なのは手続きそのものより、「カードを断られるのは、韓国では申告できるくらい"あってはならないこと"の扱いだ」と知っておくことです。店先で引け目を感じる必要はありません。
3. それでも現金が要る理由は「拒否」ではなく「未加盟」
ここまで読むと「では現金はゼロでいいのか」と思われるかもしれません。そうではありません。上の法律が縛っているのは"加盟店"だけだからです。
所得税法第162条の2第1項は、加盟店への加入を「主に事業者でない消費者に財貨または役務を供給する事業者のうち、業種・規模などを考慮して大統領令で定める要件に該当する事業者」に対する指導として定めています。裏を返すと、その要件の外側にある小規模な売り手には、この仕組みが届きません。
屋台や露店のような場所でカードが使えないことがあるのは、お店があなたのカードを「断っている」のではなく、カード端末がそもそも無いからです。これは法律違反ではありません。だから、そこだけは現金を用意していきます。
伝統市場も同じです。市場だから現金、ということはありません。カード決済に対応している店は多くあります。「市場に行く日は少し現金を持つ」くらいの構えで足ります。
4. 交通費だけは金額が確定しています
持っていく額を決めるとき、唯一きちんと計算できるのが交通費です。公式に公表されている金額なので、ここは数字で出せます。
| 手段 | 料金 | 支払い |
|---|---|---|
| 空港鉄道(AREX)直通 | 通常 T1 18,500ウォン / T2 19,100ウォン 特別割引 13,000ウォン適用中 | カード・窓口 |
| 空港鉄道(AREX)一般 | T1↔ソウル駅 4,450ウォン / T2↔ソウル駅 5,050ウォン 降りる駅によって変わります | 交通カード |
| リムジン 6001・6009・6015・6020 | 17,000ウォン | 現金・カード |
| リムジン 6701・6702・6703 | 18,000ウォン | 現金・カード |
| タクシー初乗り(一般・中型) | 4,800ウォン | カード可 |
| タクシー初乗り(模範・大型) | 7,000ウォン | カード可 |
| 金浦空港 リムジン 6003・6014 | 8,000ウォン | 現金・カード |
| 金浦空港 市内バス 601・605・651ほか | 1,500ウォン | 交通カード |
タクシーの「空港から明洞まで◯万ウォン」という総額は、この記事では出しません。公式に確定した目的地別の総額が無いためです。初乗り運賃までが確実に言える範囲で、深夜(22時〜翌4時)は割増があります。
5. では、いくら持っていくか
「◯万ウォンあれば十分」と書いている記事を、筆者は信用していません。旅行者が実際に現金で使う金額を示した公式統計は存在しないからです。存在しない数字を書くくらいなら、自分で出せる形にしたほうが役に立ちます。
現金が要るのは次の2つだけです。
- (1) 交通の現金分リムジンを使うなら片道17,000〜18,000ウォン。鉄道・バス・タクシー中心なら交通カードとクレジットカードで足ります
- (2) 屋台・市場で使う予定額ここは旅程次第です。屋台で食べ歩く日が2日あるのか、1回だけなのかで変わります。自分の予定から決めてください
- (3) それ以外現金は要りません。加盟店はカードを断れないからです(第2章)
この3段のうち、(1)は上の表から計算でき、(3)はゼロです。つまり考えるのは(2)だけになります。「いくら必要か」という問いは、実のところ「屋台と市場にいくら使うつもりか」という問いでした。
足りなくなっても現地で両替できますし、多すぎれば帰りの両替で目減りします。迷ったら少なめにして、足りなければ現地で足すほうが損が小さくなります。
参考: 韓国の人も、現金で払うのは10回に1〜2回
韓国銀行(中央銀行)の「2024年 支払手段およびモバイル金融サービス利用行態調査」によると、支払い回数のうち現金が占める割合は1〜2割程度で、最も多いのはクレジットカードです。年代によって差があり、60代以上では現金の選好が相対的に高く出ています。
ただしこれは韓国に住んでいる人の決済行動です。旅行者は屋台や市場に行く頻度が住民より高くなりがちなので、この数字をそのまま自分に当てはめないでください。あくまで「韓国はそのくらいカードで回っている社会だ」という背景として読むのが正しい使い方です。
6. よくある誤解
7. よくある質問
Q. 韓国旅行に現金はいくら必要ですか?
旅行者が実際に使う現金額を示した公式統計は存在しないため、金額を断定できません。現金が要るのは「交通費の一部(リムジンを使うなら片道17,000〜18,000ウォン)」と「屋台・市場で使う予定額」の2つだけで、それ以外は加盟店がカード払いを拒否できないためカードで足ります。
Q. 韓国でカード払いを断られることはありますか?
カード加盟店が断ることは法律違反です(여신전문금융업법 第19条第1項、違反時は第70条第4項第4号により1年以下の懲役または1千万ウォン以下の罰金)。断られる可能性があるのは、そもそも加盟店ではない屋台や露店などです。
Q. 「カード払いなら手数料を上乗せ」と言われたら?
加盟店手数料をカード会員に負担させることは여신전문금융업법 第19条第4項で禁じられています。応じる義務はありません。
Q. 屋台や伝統市場はすべて現金のみですか?
いいえ。伝統市場にもカードに対応している店は多くあります。「屋台の何割が現金のみか」という統計は存在しないため、この記事では「加盟店でない場合があり得る」までしか書いていません。市場や屋台に行く日だけ少額の現金を持つ、という構えで足ります。
Q. 韓国の人はどれくらい現金を使っていますか?
韓国銀行の2024年調査では、支払い回数のうち現金が占める割合は1〜2割程度とされています。最も多いのはクレジットカードです。ただしこれは住民の決済行動で、旅行者の行動とは分布が異なります。
Q. 現金が足りなくなったらどうしますか?
現地で両替できます。多く持ちすぎると帰りの両替で目減りするため、少なめに持って足りなければ足すほうが損が小さくなります。
国家法令情報センター「여신전문금융업법」 law.go.kr(第19条・第70条)
国家法令情報センター「소득세법」 law.go.kr(第162条の2)
韓国銀行「2024年 支払手段およびモバイル金融サービス利用行態調査結果」 bok.or.kr
交通料金は各運営事業者の公式案内にもとづきます(仁川国際空港公社・空港鉄道・ソウル市)。料金の確認時点は2026年8月です。
最終確認: 2026年9月。法令は改正され、料金は改定されることがあります。特にAREX直通の特別割引運賃は期間限定の可能性があります。
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